あきる歯科ブログ

歯医者が薦めるインプラントをするうえで注意したほうがいい点 清掃状態 検診 本数 全身疾患 

 こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

 前回に引き続きインプラントについてのお話です。
 前回は、インプラントに関してのメリットと、おすすめできる方をお話ししました。

 では、インプラントに向かない方、お勧めできない方はどういう方でしょう?

 まず清掃状態がよくない方にはおすすめできません。インプラントは自分の歯が戻ってくるようなものという話し方をされる先生もいますが、
自分の歯と違い免疫力による回復が見込めません。自分の歯を歯周病で失ってしまった方は、同じようにインプラントも歯周病で失う可能性が高いです。
 歯周病の検査と治療を行い、清掃状態が継続して保てる方と判断できないとインプラント治療はお勧めしません。患者さん自身が歯磨きをしない、炎症がよくおこるというような自覚があれば、よく相談された方がいいと思います。 ハミガキはしっかりしているけどよく虫歯になるというような方も、ご自分で磨いているつもりで汚れが落ちていない可能性がありますので要相談です。 

 そんなに歯磨きしなくても歯医者で定期的にきれいにするからと考えるかもしれませんが、歯科医院はあくまで清掃の補助と普段磨けていないところを指摘する場所です。日常の歯磨きが不十分であれば毎週歯医者に通うのでもない限り徐々にお口の状態は悪化していきます。
 インプラントを行うならば、少なくても歯周病の検査を行い、インプラントが維持できる歯茎の状態と清掃状態である事を確認してからの方がいいとお思います。

 次に、定期的に歯科医院通えない方も向きません。インプラントは神経などが通っているわけでないので炎症を起こしても気が付きにくいです。
また、インプラントを行っていない方でも、定期的に来院することで清掃状態が保てているか、磨きにくい所はないか、どういう磨き方をすればいいのかをお話ししますが、それと同じようにインプラント周囲の清掃状態が問題ないかの確認を定期的に行うことをおすすめします。清掃状態によっても検診期間は異なりますが、一般的には3~4か月に一回の検診、最低でも年に1回の検診を受け有れないようならインプラントはお勧めできません。これは、残っているほかの歯は、歯周病が進行してそこからインプラントが感染してしまう場合や、残っている歯がぐらぐらしてしまい骨と結合している動かないインプラントに負担がかかってしまう場合などもあるからです。インプラントの清掃状態、周囲の歯の状態、噛みあわせの力のバランス、レントゲンによる骨の吸収がないかを確認するための定期検診は非常に重要です。

 また、高齢の方の場合、手術の時は問題なくても、その後手が動かなくなったり、アルツハイマーで自力での清掃が難しくなる場合もあります。その場合は、家族や施設の方で清掃が可能な形態に被せ物を変えることや、歯茎の中に埋め込んでしまったり、撤去が必要になる可能性もあります。

 それ以外でインプラントをおすすめしにくいのは、骨粗鬆症や糖尿病、高血圧など全身疾患で、コントロールされていなければ手術が難しいかた、欠損に対して少なすぎる本数で治療を希望する方、成長期で年齢が若すぎる方、などが挙げられます。

 インプラントは決してなくなった歯に対して1本につき1本埋める必要はありません。インプラントメーカーとして古くからある4大インプラントの一つITIインプラントを作っているストローマンは、ITIコンセンサスというインプラントに対する見解を定期的に発表していますが、はっきりと「1本の歯の欠損に対して1本のインプラントを埋める必要はない。無駄に本数を増やすことで患者の負担が起きくなり感染のリスクは上がる。また、本数を多くすることで清掃性が悪くなることも考量する必要がある。」旨を発表しています。 たとえば、インプラント2本ですべての歯を支えることはできません。本来片側14本ある歯を支えるためには、通常であれば上顎で8本、下顎で6本のインプラントが必要になります。特殊な手術を行うことで4本ですべてを支えることもありますし、骨の状態によっては少し増えることもあります。しかし14本の歯を再現するために14本のインプラントが必要なことなどはありません。こんなにいっぱいインプラントが必要なのかなと考えることがあればしっかり相談をした方がいいと思います。また、逆に、4本歯を失った場合に1本のインプラントでそれを補おうというのは無理があります。単純に考えれば4倍の負荷がかかるわけですからインプラントが持ちません。

なのでインプラントをする上での注意点は、
①清掃状態は良好な範囲か(自己判断でなく歯科医師の判断で)
②定期検診に通えるか
③欠損に対し適正な本数か
④全身疾患はコントロールされているか
この中に気になる項目があれば、担当医とよく相談するかセカンドオピニオンを求めた方がいいと思います。
 

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