あきる歯科ブログ

保険診療と自費診療の違い

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

時々聞かれることなのですが、保険診療と自費診療は何が違うのかをお話ししたいと思います。

 根本的には、保険診療は国(厚生省)が認可した内容の診療です。皆さんがお支払いの健康保険から、
治療費の7割から10割を国が負担して医療機関に支払います。いわゆる窓口支払い、患者さんが医療機関で支払う医療費は
実際の治療費の最大で3割ということになります。(なので保険証の無い方は10割の料金が発生します。保険証がない場合、保険証有効期限が切れている場合は国からの支払いが発生しないためです)

 そのおかげで、日本では世界でも類を見ないほどの医者にかかりやすい国になっています。実際にアメリカでは、お金がかかるから歯医者に行けない人が自分で痛くなった歯を抜いてしまう事例や、イタリアでは闇歯科医(国家資格を持っていない歯医者)による診療の事例も多いようです。たとえば、日本で定期的に行う歯のお掃除は2500~3500円程度ですが、アメリカやスウェーデンで行った場合は12000~50000円の費用が掛かります。

 このように治療を受けやすいという意味では非常にありがたい仕組みなのですが、保険制度にはデメリットも存在します。
最たるデメリットは国の認可が下りていない治療ができないということです。

 血液製剤問題やBSEのために日本の厚生省は新しい技術や薬剤の導入に非常に慎重です。そのため、開発、運用され他国で結果が出てから認可される傾向があるため、最新の治療というものが保険治療に導入されにくい状況にあります。これは、安全性の裏返しであるため、いい面ではあるのですが、反面理想的な治療が行えないというジレンマも起こっています。
 現在根管治療(神経の管の治療)の方法として、割れた歯や、病気の根を切除した場合の治療材料として主流になりつつあるMTAや歯周外科(歯周病の外科治療)でも使用頻度の高いエムドゲインなどは保険では使用できないため自費の手術を行うことになります。また、インプラントや、セラミック冠なども当然保険外の治療となります。

 保険治療は「機能の回復」を主な目的としているため、大半の矯正治療や、奥歯の白い歯、ホワイトニングなど「審美性の回復」を目的としたものは適用外になります。これは、国の定めたルールなので、白い歯で治したいという希望がある場合保険の治療では対応できない場合が出てきます。 さらに、国が、高齢化社会でかさむ医療費の削減を目標としているためインプラントや、再生療法などコストの高い治療が保険適応になる可能性は低いようです。ようやくCTやマイクロスコープ、小臼歯でのCAD/CAM冠などが保険適応されるようにはなってきていますが、ほんの一部に過ぎません。

というわけで、保険診療は決して悪いものではないながら、ベストを求めようとするとそのうちでは難しいという命題が出てきます。

かといって保険外のものがすべて素晴らしいというわけではないというのが難しい問題で、例えば、変色しないことや、汚れが付きにくいため歯茎の炎症を起こしにくいこと、金属アレルギーの可能性がない事からセラミックはいい材料ではあるのですが、形成や、型取りの材料、技工士の腕、接着剤の選択、歯の大きさなどの条件を考えないとせっかくの被せ物が長持ちしなかったり取れてしまうこともあります。よくあがるインプラントの問題も、骨の条件や、患者さんの病歴、インプラントの管理、大きさ、位置の選択、患者さん自身のインプラントに対する理解、清掃状態、メンテナンスに継続してかようモチベーション、今残っている歯の寿命と今後の治療
方針などがしっかりしていないと、ベストとは言い難い治療になってしまうことがままあります。

結局は、治療に対する希望と、それに沿うための選択肢とメリットとデメリットをよく相談して治療を行うのが
患者さんにとっても歯科医師にとっても一番いいということになるのだと思います。皆さんも気になることがあればかかりつけの先生や、担当の先生によく相談されてください。迷った時はセカンドオピニオンを仰ぐというのもいい選択だと思います。

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