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あきる歯科ブログ 2022年9月

自然由来のものは健康にいい? 虫歯にならない?

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

 今回は時々聞かれる食物の選択に関して。

 なぜか虫歯になるので砂糖に摂取を控えましょうという話が出ると、
「ハチミツなら(黒糖なら、三温糖なら、和三盆なら)、大丈夫ですよね?」
と確認されることがありますが、基本的に糖アルコール(キシリトールを代表とする代用甘味料、甘い味がするだけで酸を産出しないため虫歯にならないお菓子などとして販売されている)以外の糖は、ブドウ糖もはちみつも果糖も虫歯の原因にはなります。

 なぜか、自然由来のものは体にいいという幻想が有るようなのですが、トリカブトもフグ毒もベニテングダケも自然由来です。なんだったらモウドクヤドクガエルは名前からして毒の、世界一の毒ガエルです。
 世界は人間のためにできているわけではないので、自然由来でも人間には毒なもの、薬なものは混在しています。アボガドやニンニクだって動物にとっては毒なのに、たまたま人間が利用できているだけですね。
 そもそも三温糖も黒糖も精製しているのでそういう意味では自然由来ではないのでは・・・? 
 それが自然由来なら全て自然由来といってもいいのでは? となりますが・・・。

 ハチミツに関しては、抗菌性があることから虫歯菌に効果があるという説を訴えている人はいるのですが、
今のところ明確に効果があるという信用性の高い論文は出ていません。

 勿論このあたりは、後々効果があるということがわかってくる可能性もありますが、
今のところあえて選択する理由はないと思います。

 選ぶとするとどちらかというと、砂糖の種類よりも、粘着度が高いか、よくかむので唾液が出るかというところが問題になります。
 そういう意味では、天然の甘味である果物のほうが、ジュースや、飴やチョコと比べると歯ごたえがある分よくかんで唾液を出し、粘着度が少ないので歯にくっつかないという意味では虫歯になりにくいです。

間食の回数 = 虫歯の数

 こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。
 
 前回に引き続き、虫歯の予防に関して、メインは仕上げ磨き、フッ素、シュガーコントロールということはお話ししましたが、
肝心のシュガーコントロールとはどういうことをすればいいのでしょうか?

 砂糖を一切とらなければ、それは虫歯にはならないのですが、現実的ではありません。
 実際砂糖の摂取のコントロール可能なのは間食の回数です。

 通常、食べ物を食べると、それを栄養に酸が出ることで口に中が酸性に傾きます。唾液によって徐々に中和されますが、
頻繁に食べ物を食べていると、唾液によって中和される前に酸が出ることで常に口に中が酸性になってしまいます。
 間食の回数は理想は3食以外1回、目標としては3食以外2回までと言われています。

これは、実験によって3食以外間食の数が多いほど虫歯ができやすく、特に3回で虫歯リスクが跳ね上がるからです。

間食の回数を変えて虫歯のできた数をカウントするという実験で

間食0回  平均の虫歯の数 3.5本
間食1回  平均の虫歯の数 4.8本 間食によって増えた虫歯の数 1.3本
間食2回  平均の虫歯の数 5.7本 間食によって増えた虫歯の数 2.2本
間食3回  平均の虫歯の数 8.5本 間食によって増えた虫歯の数 5.2本
間食4回  平均の虫歯の数 9.8本 間食によって増えた虫歯の数 6.3本

という結果が出ています。間食が多くなれば多くなるほど虫歯の本数は増えていくのです。

 逆に甘いものを食べるのならば、食事のすぐ後に食べれば、口の中は食事によってもともと酸性に傾いているので
それほど影響はありません。量も問題ではなく、ホールケーキを一気に食べるより1時間に1回チロルチョコを食べる方が虫歯になりやすくなります。 

 また、粘度が高く、口に中に残りやすいスナック菓子、ガム、飴、チョコ、ビスケットなどは常時、歯に張り付いて酸をだすもとになってしまうので間食としては最もおすすめできません。かむことによって唾液が出るもの、口の中に残りにくいもの、で考えると、うどんやおにぎりの炭水化物類が推奨になります。
 
 さらに、リンゴと100%のリンゴジュースでは、咀嚼による唾液が出る影響から、リンゴの方が虫歯になりにくいです。

というわけで、間食については、

間食の回数が多いほど虫歯の数はおおくなる
量よりも回数が問題
できれば1日2回まで
食べるのならば食事のすぐ後にする
口の中に残りにくいものを選択 炭水化物>果物>ジュース>お菓子 の順に推奨

ということを覚えておいていただくといいと思います。

 

虫歯の予防はどうすればいいの?

 こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

 前回はフッ素についてお話ししました。フッ素はWHOでもアメリカでもイギリスでもドイツでも日本でも積極的に推奨されている
世界基準の虫歯予防対策です。フッ素歯磨き、フッ素塗布に関して急性中毒を起こすような(小児で歯磨き粉1本を一気に飲み込む)量を摂取しない限り、様々な研究から、人体への害がある根拠ある報告はありません。(毎日の小児のフッ素うがいは6歳以下は飲み込む可能性があるので非推奨になっています)

 インターネットを検索して「フッ素は毒」というようなプロパガンダをしている人は、専門家の意見を調べずにセンセーショナルな記事を信じてしまった方か、内容がどうであれアクセス数が稼げればいいというような不誠実なアクセス亡者か、その代わりにこういうものを使いましょうという商品を販売する偽医療詐欺業者と思っても過言ではないです。ほとんどの方は、知らずにセンセーショナルな記事を読んで、だまされ、みんなに教えてあげなければという親切心で行動されているのだと思いますが、その親切心が健康被害を出しているかと思うと悲しくなります。

 さて、フッ素の使用以外の虫歯の予防法は何があるのでしょうか?

 一つは勿論歯磨きです。目視で歯の表面に白いプラークが残っている状態が続けば、もちろん虫歯になってしまいます。歯磨きした後は歯の表面を鏡で確認して歯垢が残っていない状態を目指してください。

 もう一つは、シュガーコントロールー砂糖の摂取方法や間食の取り方ーです。

 これについては以前もお話ししましたが、もう少し詳しく次回お話しします。



フッ素は有害なの? よくあるご質問に対して

 フッ素は世界基準の虫歯予防のスタンダードですが、SNSやネットの健康記事を読んで、「体に害がある可能性があるなら」と不安になりフッ素塗布を希望しない保護者の方が、年間に数人来院されます。虫歯のリスクが少ない口腔環境で、リスクの少ない食生活を送っているのならば問題はないのですが、往々にして虫歯がある場合やリスクがある場合がほとんどです。
 こういう場合にフッ素を使用しなければ、 虫歯の本数もふえ、神経の治療などが必要になるまで進行することも珍しくありません。専門家が書いたわけでもない偽医療記事によって健康を害する方が増えていくことには深い憤りと無力感を感じます。歯科界でも、トンデモ歯科情報を訂正する活動をしている「
トンデモ歯゛スターズ」の先生がいるのですが、まだまだ、ネットでみたので心配という保護者の方はあとをつきません。

*上記の、虫歯のリスクの少ない環境と食生活は、「3食以外のおやつが1日1回まで、おやつはおにぎりや果物がメインで、ジュースや市販のおやつはほとんど摂取しない。歯垢が目で見えないくらいまでは歯磨きができており、口呼吸や唾液の減少、矯正器具の使用がない方」くらいが目安です。


 さて、「同じ歯科医でも、同じ先進国でも、フッ素に対して意見が別れるのはなぜ?欧州はむしろ禁止傾向では?」という質問が先日SNSに書き込まれました

 

 これに対する解答が2022年現在までの文献を踏まえており、おおよその歯科医の総意といっても過言ではないため、フッ素の使用を躊躇する保護者の方の参考になればと思い文書にすることにしました。

 

解答

「フッ素は欧米では禁止されている危険な薬剤だ」という文言を目にすることがありますが、これは、アメリカ歯科医師会やWHOなどが「6歳未満はフッ化物洗口はすべきでない」といった提言をしているものを拡大解釈したものです。 洗口が禁忌となる理由は「誤って液体を飲み込んでしまう可能性があるから」です。 歯磨剤や局所塗布は決して禁忌ではありません。

 

 次に「先進国でも意見が分かれる」についてですが、上述のようにフッ化物そのものを禁止している国はありません。交際的にも学会での学術的な賛否はありません。なので意見は分かれてはいません。「フッ素で虫歯予防は間違い」とした国や公的機関の発表は1つもないことを追記しておきます

 

 「歯科医師でも意見が分かれる」についてはフッ化物について意見が分かれているのではありません。 科学的根拠に基づいて学んでいる歯科医師とそうではない歯科医師がいる、というだけです。 科学的根拠に基づいて学んでいる歯科医師でフッ化物について全面否定な歯科医師に出会ったことはありません。

 

 これまで分かっていないフッ化物の害が今後見つかるじゃないか! ということは、決して否定はできません。 でも、「今の応用の仕方で何十年も経っていてこれまでにそうしたことはない」ということは言えます。

フッ素の危険性は、これくらいの濃度で、これくらいの頻度であれば問題は少ない、ということがすでに検証済みで、そうした経緯から「6歳未満にフッ化物洗口はすべきでない」と言われているのであって、それを逸脱して「フッ素は禁止!」と解釈するのは、論外だと考えます。

 

 フッ素自体が中毒を起こすものではないかという意見もありますが、薬というのは体に変化を起こすものなのでどんなものでも適量を過ぎれば毒になります。水ですら取り過ぎると水中毒になりますし、お醤油を一気飲みすれば死にます。フッ素の急性中毒量は体重60kg野方で120g。大体歯磨き粉2本分を一気に接種しない限り中毒にはなりません


 国内におけるフッ化物配合歯磨剤の使い方を追記すると、3歳未満は500ppm以下の濃度のものを切った爪程度の少量を仕上げ磨きで。 3〜5歳は同じく500ppm以下の濃度のものを5mm程度。 6歳になったら1000ppm以下の濃度で1cm程度、 15歳以上なら2cm程度で1500ppmまで使えます。いずれも歯磨き後の洗口は一回ゆすぐだけが推奨になります。

リスクに応じてにはなりますが、日本は海外に比べて低濃度かつ少量の基準となっています。

 

 なお、口腔衛生学会のフッ化物配合歯磨剤についての考え方は、昔は、「あくまで歯磨きの補助剤、歯磨剤よりブラッシング重視、洗口は口の中からなくなるまで行う」だったのが、現在では「ブラッシングよりも歯磨剤の使用の方が予防効果は高い、仕上げ磨きはフッ化物配合歯磨剤を使用しなければ効果がない、洗口は一回ゆすぐだけ」に変わっています。

 

 ちなみにイギリスのガイドラインで、成人でのむし歯予防に対し強い推奨は ・フッ化物配合歯磨剤で最低12回のブラッシング(寝る前+その他のタイミング、歯磨き後は吐き出すだけ) ・砂糖の入った飲食物を最低限にする、のみです。

 米歯科医師会が発行しているフロリデーション・ファクツでは、60年間における水道水フッ化物応用において、反対意見が一般に認められた科学によって実証されてことは一度もないとのことです。

 


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